院長ブログ
「疲れた。刑務所帰る」広島脱獄犯ギブ!逃走54時間逮捕
広島刑務所の脱走事件で、広島県警は13日午後4時35分頃、広島市西区天満町の路上で、警察庁が特別手配していた中国籍の受刑者・李国林容疑者 (40)を発見し、逃走と住居侵入、窃盗の疑いで逮捕した。私服警察官の職務質問に疲れ切った様子で「李国林です」と日本語で返答。所持金は10円しかな く、果物ナイフを所持していたが、自ら警察官に手渡した。11日の脱走から約54時間、世間を騒がせた“脱獄劇”に、ようやくピリオドが打たれた。
広島市民を不安に陥れた脱走劇が、ようやく解決した。県警などによると、現場は広島刑務所から約2キロにある広島市西区の天満小学校近く。警戒にあたっていた私服の女性警官が、交差点を渡る黒のニット帽に白い靴を履いた男を発見した。
特別手配中の李容疑者とよく似ており、着ていた紺と水色のジャンパーの胸部分には日本人の名前が刺しゅうされていた。警察官がその名前を出して呼び止めると、男は「李国林です」と、マスクを外し、こけた頬に見覚えのある傷痕が見えたという。
所持金は10円玉1枚だけ。所持していた果物ナイフは自ら警察官に手渡し「刑務所に帰る。疲れた。何も食べていない」と日本語で答え、身柄を確保されると観念したのか、やつれきった様子でパトカーに乗り込んだ。
李容疑者は2005年に岡山市で職務質問しようとした警察官らに拳銃を発砲するなどの殺人未遂や公務執行妨害などの罪で服役中だった。だが、今回は抵抗 する様子もなく、警察署に移送された李容疑者は「疲れており何も話したくない」と、言葉少なで、逃走理由や足取りは語らなかった。
現場は、コンビニやマンションが立ち並ぶ一角。パトカー10台と30人余りの警察官が李容疑者を取り囲み「取り押さえろ」「人垣をつくれ」など、怒号が飛び交った。周囲には瞬く間に人だかりができた。
捜査員から聞き込みを受けたという弁当店店長の米澤晃彦さん(31)は「(パトカーの)サイレンが鳴ったので交通事故かと思ったら何台も連なった。逮捕 時は周囲の交通も止めて騒然としていた」と振り返り、別の20代男性は「捜査員10人くらいに囲まれて(李容疑者が)出てきた。やじ馬も50人以上いて、 写真を撮ったりしていた。逃げていたのは知っていたが、まさかここで捕まるなんて」と驚いた様子だった。
脱走後、県警は約500人態勢で捜索。逮捕現場と、12日に李容疑の犯行とみられる空き巣事件は2つの川にはさまれた地域にあるため、川にかかる橋すべてに警察官を配置し、逃走経路を封鎖していた。